先日発表されたカンパニョーロの新型グラベルコンポーネント「EKAR」
市販コンポーネントとして初めてとなる13速をひっさげ、フロントシングルでありながら幅広いギア比を持つなどオフロードでのラフなコンディションでも確実な動作と操作をめざした「カンパニョーロの考えるグラベルコンポ」を体現したグループセットです。
今回は輸入元である日直商会様のご好意でテストインプレッションをする事が出来ましたのでご紹介いたします。
車体はアルゴン18のダークマター。ショートリアセンターをもつ反応性の良いレーシンググラベルバイクで個性的なフロントフォークのシルエットやカラーリングに目が行きますが、ヘッドベアリング距離を変更できる3D+ヘッドシステムやダウンチューブプロテクターなど細かな気遣いの行き届いた真面目なバイク。
という事早速見ていきましょう!
エカルのベースはおそらくコーラスグレードですが、細かな違いが随所にありますので違いを細かくご紹介していきます。
エルゴパワーはフロントシングルなので右のみシフトレバーが用意されています。
トップ側変速はウルトラシフト機構なのですが、気味いいレバータッチは残しつつ操作ミスを防ぐため1アップ3ダウンとパワーシフトのような動作。
レバー形状も異なりレバーへのアクセスはとても自然にできるように煮詰められていると感じます。
リーチアジャストももちろん完備。
ダウンシフト側のレバーにはEKARのロゴがうっすらと浮かび上がる凝った仕上げ。
クランクセットはバリエーション豊かな事とBBが専用でシーリングが強化され、オフロードでの耐久性を向上させている仕様です。
ここにもEKARのロゴマークが。クランクアームにアートワークのあるクランクって珍しいですよね!
リアメカはかなり大型でプーリーゲージのばたつきを抑えるため相当強いテンションで設定されています。
ですのでSRAMのリアメカに似たホイール着脱用のゲージ固定機構が設けられています。この点はGRXも是非真似て頂きたい!
バイクコントロールのキーとなるブレーキキャリパーは他のグレードと同じと思いきや、わざわざホース、キャリパーがエカル専用仕様でオイルまで異なるというこだわり。
トータルでブレーキタッチは少し硬くなっているような印象でした。
ブレーキの操作感は慣らしがどれだけ進んでいるかで印象が変わると思いますが、シマノの105より立ち上がりは早く、パッドとローターの接触ポイントが分かりやすい印象です。
コンポーネントではありませんが今回の試乗車は現状唯一となる13速対応新型フリーボディ「N3W」が最初からスペックインされている「シャマルカーボン」にミシュランパワーグラベル40cをセットした足回り。
空洞感が抜群で転がり抵抗の少なさと40cとは思えない剛性と反応性は流石シャマルの名を持つだけあります。
グラベルロードの重厚感がゆえのネガティブは見事に軽減され、ロードバイクに近い挙動を手に入れることのできるのでグラベルバイクのアップグレードにはカーボンリム!と思わせる一本でした。
まとめると…
総合的に見るとエカルはグラベルコンポーネントという括りになりますが、ギアレンジのバリエーションは色々選べますし(最大4.8〜最小0.86)、フロントシングルである事やレバーの形状の恩恵で操作が簡単になっている事、なによりカンパニョーロならではのクリーンなデザインがエンデュランスロードフレームとの組み合わせでも十分に選択肢に入る、広い守備範囲をもつコンポーネントであるように感じました。
例えば当店で試乗車を用意しているメリダのスクルトゥーラエンデュランスや、今回試乗車として使わせて頂いたargon18の海外レビューで絶賛されたクリプトンPROやクリプトンCS、イタリアンブランドでまとめるならピナレロのパリなどに組んで30c以上のタイヤでイージーライドを楽しむバイクとしてまとめていくのもアリではないでしょうか!?
発表当初カンパニョーロの新たなチャレンジという事で期待はしつつも、こんな高級グラベルコンポを受け入れる先があるのかしらんと心配もしていたのですが、単純に「フロントシングルのロードコンポーネント」としてみれば13速も妥当ですしフレームの選択肢も多く、実はロードサイクリングはこれだけで十分なのでは?と思えるようなポテンシャルのあるコンポであることが分かって嬉しくなってしまいました。
十分な供給は来春以降という事ですので、この冬ニューバイクの妄想をされる皆様には是非カンパニョーロのエカルも選択肢に入れて頂きたいところです。
本日はここまで、ありがとうございました。
スポーツバイクメカニック 横山ヨーイチ