まずは8月前半の新型コロナウイルス感染にともなう臨時休業につきまして、ご迷惑とご不便おかけいたしました。幸い目立った後遺症などもなく、無事通常通り営業再開できましたことをご報告をさせていただきます。
今後とも変わらずサイクリストの皆様のお手伝いができます事、嬉しく思っております。期間中の沢山のご心配、励ましのお声も本当にありがとうございました。
さて、復帰1回目の業務日誌はカンパニョーロの新型フリーボディ「N3W」についてのご依頼です。
N3Wボディといえばシャマルカーボン、EKARの発表と同時に登場したカンパニョーロの新規格フリーボディ。
リアスプロケットのTOP9Tを実現し世界で唯一となる機械式13速EKARのワイドギアレシオを支えています。
今回はこのEKAR×シャマルカーボンの組み合わせの車体をお使いのお客様から「ギア飛びやスリップが発生するからどうにかしてほしい」ということでご相談頂きました。
車体自体は他店様で用意、組付、整備や上記のトラブルシューティングを受けていたそうなのですが、どうにも解決に至らないという事情があったそうです。
組み合わせ的にはなんの問題もありませんので、内部の爪やスプリングにトラブルがあるのかなと思ったのですが明らかにフリーの爪がハブボディ側と嚙み合わない現象が起きていました。
いろいろな状況をお客様にお伺いしてゆくと、どうやら最初はシマノボディ仕様のシャマルカーボンを購入されていたようで、EKARで組むことになったタイミングで後から別途N3Wのフリーボディを用意したとの事。
その際にお客様自身で手配してしまったのが「シャマルカーボン以前のモデルをN3Wにするためのキット」だったことが判明。
こちらがそのキット
これはBORA ONE DISCやシャマル DISCの場合、フリーボディの外形が30ミリなのでシャマルカーボン用のN3Wボディ(外径33ミリ)が入らないため特別設計されたN3Wボディで専用シャフトとセットで用意されている部品です。
径の大きいラチェットリングを持つシャマルカーボンに旧規格用のN3Wボディをシャフトまで入れ替えて組付けてしまっていたため、爪のかみ合わせが不十分になっていたことが原因でした。こちらもよい勉強をさせていただきましたので似たようなトラブルを起こさないようにN3Wのボディ交換の際は皆様お気をつけくださいませ。
ということで通常仕様の外形33ミリN3Wボディを用意して復旧作業です!
完成!外見はなにも変わりませんが正常に動作するようになりました!
今回のケースのように複数のお店を跨いだり、自分での部品手配をすると車体の全体構成の整合性が取れなくなってしまうトラブルが起きてしまいがちです。
昨今の情勢によって部品の入手性が悪くなっていますので、手に入るところから買うしかない場面が多くなっているのは仕方がないことですが、時間やお金が余計にかかる2度手間3度手間の回り道をしかねません。
自転車の部品交換や車体組み立てのための部品購入を始めてしまう前に一度我々のような店舗を持つショップにお声がけいただきたいなと思ったご依頼でした。
ちなみにシフトレバーのリーチアジャストボルトの調整をしないまま、ブレーキレバーのリーチアジャストを効かせてあったのでレバー同士が変速するたびにひっかかる問題が起きていたのでクリアランス調整もおこないました。
本日はここまで、ありがとうございました。
スポーツバイクメカニック 横山ヨーイチ