メリダ eBIG.NINE 400 試乗車 導入しました。

昨年8月の展示会にて発表されたメリダの2020モデル。

その中でも会場の最前列で展示されていたのが今もっともメリダが開発に力を注いでいる「E-BIKE」でした。

2020年のE-BIKEラインナップはMTBとCityの2ジャンルから計6車種、Miyataブランドを含めると12車種という他社の追随を許さない圧倒的な数を展開しています。

Miyata伝統のMTBリッジランナー
メリダのグラベルロードサイレックがベースとなっているROADREX

メリダのE-BIKEの心臓部であるパワーユニットは全てシマノの「STEPS」を搭載し、シマノの各コンポーネントと完璧なシンクロを狙っています。

アシストユニットも含めたフルシマノコンポなのでクランクもXTグレード!

特にニューモデルとして発売されたeONE-SIXTY 9000、eBIG.NINE 400、ePASSPORT 400 EQの3車種はシマノとの共同開発が進められ、待望のダウンチューブ内蔵バッテリー仕様となりました。

という事でまずは展示会の写真と到着した実車を交えながら今年注目の3車種を紹介をしていきます。

トップモデルとなるeONE-SIXTY 9000はメリダ初のフルカーボンモデル。リアバックは流石にアルミですがフルサスで公表重量22kgとE-BIKE離れした重量に収まっています。

もっとも気づきにくく、しかしながら最も大きな特徴がトレンドでもある前後異径ホイールの採用です。前輪は29インチ、後輪は27.5インチの組み合わせで走破性と取り回しの両立を図っています。

eONE-SIXTY 9000

さらにカーボンフレームの弱点であるバッテリー熱のこもりやすさを考え、ヘッドチューブ左右に空冷用のサーモゲートが装備されています。

シマノM8100シリーズにFOXファクトリーグレードのフォークとショックを搭載して価格は850,000円。ほぼ同スペックのONE-SIXTY 7000が700,000円なので価格差は150,000円、この価格で完全新設計のインチューブバッテリー式カーボンフレームと前後異径ホイールを盛り込んだフルサスE-BIKEは他社に存在しません。大注目の1台です。

続いて今回CYKICKSで試乗車を導入したeBIG.NINE 400。

eBIG-NINE 400

アシストユニット、バッテリーは上位モデルと全く同じSTEPS E8080J に504Whのインチューブバッテリーの組み合わせです。

最長140kmの巡行距離を持ちながら外観もスッキリとしており、新世代のE-BIKEはこうでなければといった装い。

地味にメリダE-BIKEでは初となる29erモデルなのでそのボリューム感を是非実車で確認下さい。

ディスプレイや電源スイッチも新デザイン。

サイズはSとMの2種類で店頭試乗車はMサイズです。

シマノM6000シリーズにSRsuntourXCR34を搭載し価格は399,000円。

最後はcityカテゴリのePASSPORT 400 EQ。

クロスバイクベースのダイヤモンド型フレームにシマノのSTEPSで最も軽量なE5080を搭載、ユニットは上位モデルと比べるとパワーに劣りますが500g軽量です。

現行ユニットは3グレード、最大発生トルクに差があります。

もちろんこれもインチューブバッテリーなので外観もスマート。

なによりもフェンダー、スタンド、ロック、ライト、キャリアが標準装備なのでアレコレ後付けを考える必要なく、購入したその日からすぐに贅沢なコミューターとして活躍します。

タイヤは700×50c(29×1.95“相当)と相当タフな寸法なので軽量級クロスバイクとは違い走破性と安定感で優っている設計ですね。

ラインナップは1カラー2サイズで価格は329,000円です。

E-BIKEはスポーツ自転車界隈だけでなく一般メディアでの露出も増えており、子乗せ自転車ではもはや必須装備となっています。

次世代スポーツバイクの一角を担うであろうこのジャンルの元祖となるヤマハPASシリーズの登場から約30年が経ち、BB同軸アシストユニット化(電源の入っていない時でも抵抗が限りなく少ない)やリチウムイオンバッテリー化など着実な進化を遂げ、今や発売当初では考えられない軽さと巡航距離を誇っています。

このような進化が進んだおかげでようやく「スポーツ自転車らしい運動性能」を妨げない領域までたどり着いたのが2020モデルの印象です。

アシスト自転車なんて運動にならないのでは?というのはよく聞くご意見ですが、オーディオ的に例えると従来のスポーツ自転車の進化がサイクリング体験の解像度を高めてくれる「ハイレゾ化」とするならばE-BIKEはスポーツ走行の最もキツイ部分をカットしてくれる「ノイズキャンセリング」のように働き、サイクリングの快適な部分だけ抽出するようなイメージでしょうか。

つまりアシストが最も有効なのは特にライダーの負荷の大きく掛かる漕ぎ始めや登坂などの低速域。あっという間に巡航スピードまで引っ張ってくれるので不快感の少ないサイクリングが楽しめるのです。

全世界、特に自転車が文化として根付いているEU圏においてE-BIKEはオートバイの販売台数を超える国もあるほどの人気となっており、新規開発が盛んに行われれている今最も面白い自転車領域です。

興味の無い方も是非一度体感してみて下さい!

本日はここまで、ありがとうございました。

スポーツバイクメカニック横山ヨーイチ